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施設の壁に開いた幾つモノ頭の大きさの穴たち

整理中の課題&記事

ヘッドバッティング


 誰が書いたか語ったか忘れてしまって申し訳ないが、養護施設に措置されたばかりの幼児が壁にヘッドバッティング(正しい言い方なのかな?)をしている様子に心を痛めていた新人保母について、先輩指導員が、彼女にどうその状況に対処するよう説明しようかと考えているくだりがあった事を思い出した。

 その先輩指導員が伝えた事はこうだ。

 「幼児のこのような行動に一つ一つ付き合っていたら仕事ができない、かわいそうだが、そのままやらせていなさい、やがてその子も諦めて、そのような行為をしなくなるから」(たぶんこうだった)

 養護施設には、建物の壁にいくつもの穴が開いている。誰が空けたか判らない穴が開いている。その壁の穴が何を言いたいのか、時々、胸がふさがれる気持ちになるものの、スッと意識がそれて忘れてしまう。

 いちいち、そんな小さな出来事にかかずらっていられないので、その先のやるべき生活へ自分を投じる。自分が何を感じて、何をしたいかじゃなくて、何をすべきなのかに意識が集中する生活。

 子ども達が養育されているのではなく収容されているだけだと感じるこのようなエピソードが、自分にとってのデフォルトなのだ。幼児が泣き叫ぶよりも、幼児が達観している姿の方がわたしの心には懐かしい(?)。
 
 甘えて周囲を困らせている幼児も悲しいが、すべての表現を閉ざして静かに生きる子が心に焼きつく。悲しみの表現に付き合う事は、職員の増員や指導でどうにかなるものじゃない。そうではないのだ。「この人じゃなきゃいや」という相手に出会える道をコーディネートする事が大人のできることなのに「そのうちあきらめる」と教えなきゃいけない養護施設という現場へ措置されてゆく親のない子ども達。

 わたしは「たった一人の相手に継続して伝えたい何か」を分断され続けている施設の子の心が、切れ切れの断片としてしか生きられなくなる事を理解できる。小さな子も自分の心を守ろうとする、あてにならない大人というのは、その刹那の瞬間だけしか存在してくれない、ほんとはその場限りでうなずく相手じゃなくて、命を掛けて人生を掛けて付き合ってくれるたった一人の大人を本当は求めている・・・。

 施設の壁に空いた幾つもの穴、諦めきった大きな子の過去の残滓。

 でも実は、壁に穴を開けない静かな子たちもいる・・・。その子たちの痕も施設に残らない。
 
 こういう事も職員の増員で解決できるの?
 誰もいない人生を穴埋めできるの?
 いつか退職していく大人を相手に子どもが真剣になれると思うの?

 家庭を知らないというのはスキルだけの話じゃない、ホームとしての帰属意識が育たない。チャウシェスク政権崩壊の際、親衛隊の子どもたちは逃げ出したという。子どもの帰属意識と愛着を無視した親衛隊を作り、実体のない幻を追わせたからではないかと思う・・・。みんなのお父様は誰か1人のお父様にさえなれなかった。

 わたしは、先輩指導員が後輩保母を、冒頭のような言葉で指導しなくてはいけない養育環境を「家庭的処遇」だとはけして思わない。わたしはヘッドバッティングさえできない多くの子の生霊のような悲しみとか痛みとかが簡単に言語化できないのを知っている。

 そのような施設育ちが長じて子育てをする時、子どもをどのように育てたらいいか判らない。泣いて訴える子に怒りすら覚える、泣いて訴えても放置する、やがてその子どもも泣いて伝える手法を持たなくなる・・・。

 家庭で虐待を受けて見捨てられている気持ちを持つ子と、親から捨てられ施設でも放置されている子とは課題というものが違うと感じている。全てを一般化してならせばいいのではない。せめて施設だけで育てられた子ども達の心が反映されて、社会的養護が進められてほしい。

 自分の頭を打ち付けると、自分の感覚がどんな風なのか感じられる気がする。誰かに訴えるためのヘッドバッティングはいつのまにか、自分を覚醒するためのものになっている。

 わたしにとっての養護施設というもののイメージはこのようなもの。それは違う、言いがかりだと言われても、自分の感じる施設イメージを塗り替える事はできない。

|  整理中の課題&記事 | 10時17分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑














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