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潰えた夢:夢を持つ子、真面目に生きている子の足を引っ張る子ども集団

養護施設にいる間の問題

 着信音をけして鳴らさない子

 大人になってから幾人かの子と会う機会があった。自分の過去探しの過程で、施設の中でも真面目なタイプの子数人に、わたしの事を覚えてるか聞くためだった。

 しかしわたしの事もそうだが、彼女達は大人になってからも随分生きづらい人生を歩んでいる。偶然かも知れないが結婚の意味も知らず結婚し、やはり子どもが居ない生活をしていた。彼女らも家庭像をうまく描けていないようだった。

 それはともかくとして、そのうちの一人B子に会う機会があった。彼女は自分の好きな音楽もイラストも本も、気付いたら他人に知られないようにしているように見えた。いちいち他人に言う事ではないという意見もあろうが、彼女の場合は、何かもっと知られる事への怯えが感じられた。

 


会話

 Lei「ねえ、着信音、せっかく曲を設定しているのに何故マナーモード?」
 B子「だって音を鳴らしてると、私はこんな曲が好きですと周囲に吹聴するようなものだから・・・それってウィークポイントになるから」

 Lei「そうなんだ、音楽を設定してるのだから、鳴らさなきゃ意味無くない?」
 B子「誰もいない時、こっそり聴くからいいの」


 わたしはこの会話中、自分が読んだ本の感想文を書いたこと、その感想文で賞を取った時、表彰状の捨て場所に困ったこと、最後は庭の焼却場で燃やしたこと等を思い出した。高校生の時だ。

 ウィークポイント

 彼女は比較的まじめで、そして自分を曝け出す事は一切なかった。タイプとしてはわたしに似ているが、彼女の場合はもっと隠し方が際立って上手だったような気がする。わたしは少し隠し方が不器用だったから。 

 彼女が着信音をどんな曲に設定しているかを知る事はなかったが、彼女の気持ちはよくわかる。施設では、努力している子、真面目に勉強している子、成績のよい子、趣味を持とうと努力している子の足を引っ張る子が必ずいて、その子の努力を踏みにじるから。

 好きな世界を作る事は即ウィークポイントに繋がってしまう。少しでも大事にしたいモノを手にいれようとする子がいると、怒りを抱えた他の子にボロボロにされる。だから秘密にしなくてはならない。周囲にバレずに守り通さないとならない。

 彼女はきっとその頃の癖が抜けないのだろう。好きなものを好きとは言えないから、本当に好きなのか確証もない。・・・今も誰にも言えないのだろうと思う。ましてやわたしは施設時代の一個上の先輩にあたるのだから。

 封印のように

 以前は、わたしは好きな食べ物も、好きな洋服も、好きな本も、曲も、他人から「何が好き?」と聞かれても答えられなかった。Mariaと出会ってからリハビリのように、少しずつ互いに好きなものを教えあえるようになったけれど、Mariaも彼女自身、写真を撮る事がそんなに好きだったとは知らなかった。封印していたものを解除したかのように美しい写真をカメラに納めている。最近は好きな曲もだんだん言えるようになってきた。

 施設時代のあの頃・・・、図書室で好きな本を読んでいると邪魔をされる事が恐怖だった。読んでいる本をいきなり取り上げられて、今自分が読んでいる箇所を、わざと大声で朗読され、そして周囲の子がそれを聞いてゲラゲラ笑う、自分が大事にしている世界を物笑いの種にされてしまう。

 イラストを描いていると大きい子が来て画用紙をぐちゃぐちゃにされる。イラストなんか描かない方が安全だと判ってくる。本なんか読まない方が安全だと感じる、鼻歌を歌う時はひとり屋上でしか歌えない。

 好きなものを作ってしまったらウィークポイントが出来てしまう。何も持たせない施設では、固有の大人が居ないだけじゃなかった、固有の夢も持てなかった、固有のモノも、固有の空間も持てなかった。

 B子の態度を通して自分を鏡で見たような気分だった。施設では、夢を持つ以前の環境に居るのだから、その夢に向かって行動する事も努力する事も自分の身の危険に繋がるのだ。

 でも、誰にも知られないようにそっと抱きかかえているうちに子ども時代は過ぎ去ってしまう。封印してしまったら簡単に解除できないのだ。

 大人になった時、結果として、夢に向かう為に本人は何も努力しなかった事になる。

 養護施設では生き延びる事こそが至上命題だし、施設を出てからは一人で生活する事が至上命題なのだ。施設に入所してきた家庭育ちの子ども達の怒りは激しい。他の子が夢を持ち、羽ばたこうとするなんて許さないというけん制があった。

 施設とはそういう場所だった。

|  養護施設にいる間の問題 | 03時55分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑














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